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ご挨拶

中村仁信

 現在行われている進行がん治療の多くは完治を期待できず、一時的に進行を抑えることに留まっていると言っても過言ではありません。多くの場合、経過とともに再発が見られるからです。
 しかし、2010年にロンドンのSt George UniversityでのDr. Sanjeev Krishnaの臨床試験(※1)によれば、大腸癌切除前に2週間アルテスネイトという新しいがん治療薬を服用した患者では極めて低い再発率で5年後も健康で存命しているとのことです。
 この無作為化試験は手術を待つ21名の患者に対して行われた。患者の内10名が手術前に2週間アルテスネイトの錠剤を、残りの11名がプラセボを服用した。5年後、プラセボ群では6名の患者に再発が見られたが、アルテスネイト群では1名のみに再発が見られた。また、アルテスネイト群では死亡例はなかったが、プラセボ群では死亡例が3例あった。と報告されています。
 この結果は驚くべきものであり再発抑制に大きな希望をもたらすものです。その最大の要因は、アルテスネイト投与でのフェロトーシス効果によってがん細胞がダメージを受け転移能力を喪失したことによると推測されます。
 私たちはこの点に着目し、その検証とさらなる有効性や侵襲性を追求して参ります。

※1:当該論文の邦訳はこちらからご覧になれます。

2017年4月11日

(社)日本フェロトーシス臨床研究会

理事長 中村 仁信